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[Advanced Level] Listening & Reading Comprehension – Exercise 04

風力発電、その可能性を探る

福島の原発事故を受けて、原子力発電の功罪と必要性が激しく議論される中、わが国では環境に優しいエコ発電が改めて注目を集めている。これまで日本では、世界の先進国の中でも特異と言っていいほど「太陽光発電」に特化したエネルギー政策が採られてきた。

しかし、ひとたび世界に目を転じてみると、圧倒的に大量の導入が進められているのが「風力発電」だ。それは、風力発電が他の発電方法にはない特性を多数備えているからなのだが、わが国においては風力発電に関する情報発信が極めて少ないことなどが原因で、その可能性が一般的に認識されていない。

 

そこで、今回は風力発電の基礎知識を修得し、その理解を深めることで、風力発電と共存する未来を想像してみたい。

風力発電の発電方法は、至ってシンプル。その名の通り、風の力で風車を回し、その回転運動を発電機に伝えることで電気を起こすというシステムだ。エネルギー源となる風力は、従来の主力発電である「火力発電」や「原子力発電」の燃料である石炭や石油、ウランなどと違って、クリーン、無尽蔵、豊富、安価、再生可能、世界中のどこにでも遍在しているという、様々な環境問題を抱える現代において、まさに理想ともいえる条件が揃っている。無論、その風力で機能する風力発電も多くの利点を備えているのだ。

 

まず環境への負荷が極めて小さいことがあげられる。風力発電は、製造時に僅かに二酸化炭素を排出することを除けば、運転中の排出量は皆無に等しい。そのため、地球温暖化防止に大きく貢献するばかりか、石炭焚き火力発電のように硫黄酸化物や煤塵といった、人体に悪影響を及ぼす物質を発生する心配もない。

次に、近い将来に枯渇が予想される石油の代替エネルギーになるという点。風況の良い場所を選べば、風力発電は自然風からおよそ40パーセントの電力を取り出すことができ、燃料が無くとも火力発電並みのコストで発電することができる。

 

更に、その資源は無尽蔵。ほとんどの資源を輸入に頼り、エネルギー自給率が先進国中最低の僅か4パーセントという日本においても、風力は純国産のエネルギーとして確保できる。そのため、エネルギー自給率を高めるだけでなく、政治、経済、社会情勢の変化に過度に左右されることもないので、エネルギーセキュリティーの向上にも貢献するのだ。

加えて、今後導入が進めば、新たな産業を生み出し、雇用を促進するという間接的なメリットを生み出す可能性も多分に持つ。2008年時点で、世界全体で風力発電関連企業で働く人々は、合計44万人ものぼり、産業が活性すれば申告な雇用不足を解消する手立てにもなり得るのだ。

 

現段階において普及が進んでいる中で、このように経済発展と環境保全を両立する発電方法は電子力と風力発電以外にない(将来は、太陽光やガス化複合発電などが加わる)。しかし、ご承知の通り、電子力発電の安全神話が完全に崩れ去った今、風力発電に、より一層の注目が集まるのは明らかだろう。

 

先述したように、既に世界各国がこぞって風力発電の導入を進めている。2009年末時点での設置台数は14万台─125ギガワットに達しており、これは世界の電力需要の1.4パーセントの供給量に相当する値だ。発電設備全体に占める割合でみれば、合計でもまだ3パーセントに過ぎないが、年間成長率は20パーセント以上の推移が続いており、特に欧米においては、新設電源の40パーセント以上を風力発電が占めている。アメリカでは数百台の風車からなる大規模なウインドファームの建設が相次いでおり、グリーンニューディール政策により、2030年までに電力需要の20パーセントをまかなう計画が進められているという。その他にも、世界最大の風力発電大国である中国、19世紀末に世界で初めて風力発電を実用化したデンマークを筆頭に、ドイツ、スペイン、インドと風力発電の可能性に大きな期待を寄せる国は後を絶たない。

 

一方、日本の状況はと言えば、開発、設置共に遅々として進まず、2011年現在の設置容量の合計は2ギガワット程度で世界全体の僅か1パーセントに過ぎない。

その最大の要因は、発電が不安定であるということ。確かに、風は地球上に無限に吹いているが、同時に吹く時期は非常に不規則。全く無風の日もあれば、台風が来て暴風が吹く日もあるのが自然の摂理。風が吹いている間はいいが、風が無い日が続くと、たちまち電気の供給が断たれてしまうのが風力発電なのである。

 

その解決策として、いろいろな場所に複数設置することで、ある場所で無風でも、別の場所でカバーするという方法が考えられる。しかし、欧米諸国に比べて土地の少ない日本においては、設置場所の確保が困難だ。風力発電所を設置するには平地が必要だが、日本は山間部が多く、そもそも土地が少ない。設備を大量に設置するのに向いているとはいえないのだ。

また、風力発電には適切な風量があり、あまりにも強過ぎる風は、設備の損傷を招くが故に、台風大国でもあるわが国においては、台風対策も考える必要がある。

 

以上の理由から、日本で実用化するには、他国と比べて課題が多いことが分かる。しかし、だからこそ挑戦のし甲斐があるといわんばかりに、普及を目指して積極的な動きを見せる企業も存在する。


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日本の風力発電業界で最大の企業「ユーラスエナジー」では、2011年4月、大隈半島にて建設を進めていた「国見山ウインドファーム」を完成。同社グループでは国内のみならず、世界中で設備の導入、保有を進めており、同設備の完成を受けて、全世界で保有する発電設備容量が2ギガワットの大台に達したことを発表した。その他にも、「東芝」は韓国の風力発電メーカーである「ユニソン」と提携して、同社製品の販売や共同開発に尽力していくという報道が発表された。

 

奇しくも東日本大震災が発生した2011年3月11日、政府は2012年度より開始する再生可能エネルギー全量固定価格買い取り制度の根拠法となる「電機事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案(全量買い取り法案)を閣議決定した。これまで電力会社が買い取っていたのは、家庭による太陽光発電で余った電力のみであったが、同法案により事業者が太陽光や風力などで発電した電気を全量買い取ると発表。買い取り対象を拡充することで、再生可能エネルギーの普及を促す意向だ。

 

更に個人や企業などが、再生可能なエネルギーによって得られた電力の環境付加価値を取引できるプログラム「グリーン電力証書」の実施や、家庭でも発電できる小型化の風力発電機の開発などにより、今後、企業や自治体の風力発電事業への参加はなお一層進むと予想されている。

 

今、世界中の主要国が次世代を担う発電として風力発電の開発に注目しており、日本においても国民一人ひとりの中で、原子力発電に代わる発電方法採用への気運が高まりを見せている。これまでは必要性に駆られなかったために、風力発電導入にあまり力が尽くされなかったかもしれないが、原発の脅威に直面してしまった以上、世界随一の技術開発力を誇る日本が、より安定した供給が可能な設備の開発に向けて急進展する可能性は十二分にある。事実、環境省は2014月21日、国内で自然エネルギーを導入した場合、普及できる余地が最も大きいのは風力発電で、低い稼働率を考慮しても、最大で原発40基分の発電量が見込めると発表。特に、風の強い東北地方においては、原発3~11基分が風力でまかなえる計算だという。

 

今後、国をあげて課題解決や技術開発に向けて足並みを揃えることができれば、そう遠くないうちに、風力発電が再生可能エネルギーの主力として旋風を巻き起こす日が来るかもしれない。

 

SOURCE: 月刊 CENTURY (センチュリー)

NEW WORDS:

風力 (fuuryoku): wind power

発電 (hatsuden): generation (e.g. power)

原発 (genpatsu): nuclear power plant

功罪 (kouzai): good points and bad points

特異 (tokui): unique, peculiar

太陽光発電 (taiyoukouhatsuden): solar power (generation)

特化 (tokka): specialization

採る (toru): to adopt (method)

圧倒的 (attouteki): overwhelming

導入 (dounyuu): introduction, bringing in

特性 (tokusei): special characteristic

発信 (hasshin): dispatch, transmission

認識 (ninshiki): recognition, awareness

基礎 (kiso): foundation, basis

修得 (shuutoku): learning, acquisition

共存 (kyouzon): coexistence

風車 (fuusha/kazaguruma): windmill

回転 (kaiten): rotation, turning

発電機 (hatsudenki): power generator

従来 (juurai): up to now, so far

主力 (shuryoku): main force

火力 (karyoku): heating power

原子力 (genshiryoku): nuclear power

燃料 (nenryou): fuel

無尽蔵 (mujinzou): inexhaustible supply

再生 (saisei): regeneration, reformation

遍在 (henzai): omnipresence

揃う (sorou): to be all present

無論 (muron): of course, certainly

負荷 (fuka): burden, load

二酸化炭素 (nisankatanso): carbon dioxide

排出 (haishutsu): emission, ejection

皆無 (kaimu): nonexistence, nil

地球温暖化 (chikyuuondanka): global warming

防止 (boushi): prevention

硫黄酸化物 (iousankabutsu): sulfur oxide

煤塵 (baijin): dust and soot

人体 (jintai): human body

枯渇 (kokatsu): drying up, running out

代替 (daitai): substitution, alternation

自給 (jikyuu): self-support

先進国 (senshinkoku): developed country

確保 (kakuho): maintain, secure

情勢 (jousei): state of things

過度 (kado): excess, immoderation

向上 (koujou): elevation, rise

雇用 (koyou): employment, hire

促進 (sokushin): promotion, encouragement

間接的 (kansetsuteki): indirect

解消 (kaishou): reduction, cancellation

手立て (tedate): means, method

普及 (fukyuu): spread, popularization

両立 (ryouritsu): coexistence, standing together

複合 (fukugou): composite, combined

神話 (shinwa): myth, legend

先述 (senjutsu): aforementioned

推移 (suii): transition, change

相次ぐ (aitsugu): to follow in succession

実用 (jitsuyou): practical use, utility

筆頭 (hittou): head, chief

後を絶たない (ato o tatanai): never ending, endless

開発 (kaihatsu): development, exploitation

遅々 (chichi): slow, lagging

容量 (youryou): capacity, volume

無限 (mugen): infinity, limitless

不規則 (fukisoku): irregularity, unsteadiness

無風 (mufuu): calm, windless

暴風 (boufuu): storm, windstorm

摂理 (setsuri): providence

平地 (heichi): level ground, plain

山間部 (sankanbu): mountainous region

風量 (fuuryou): air flow, air volume

損傷 (sonshou): damage, injury

課題 (kadai): task, challenge

保有 (hoyuu): possession, retention

提携 (teikei): cooperation, joint-business

尽力 (jinryoku): efforts, exertion

報道 (houdou): information, reports

奇しくも (kushikumo): strangely, oddly

大震災 (daishinsai): great earthquake

買い取り (kaitori): purchase, buying

調達 (choutatsu): supply, provision

措置 (sochi): step, action

法案 (houan): bill (law), measure

閣議 (kakugi): cabinet meeting

拡充 (kakujuu): expansion

意向 (ikou): intention, idea

自治 (jichi): self-government

担う (ninau): to carry on shoulder, to bear (burden)

採用 (saiyou): use, adoption

気運 (kiun): trend, tendency

脅威 (kyoui): threat, menace

随一 (zuiichi): best, greatest

稼働 (kadou): operating, running

見込む (mikomu): to anticipate, to expect

足並み (ashinami): pace, step

旋風 (senpuu): whirlwind


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