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Japanese Language Proficiency Test JLPT N1 – Reading Exercise 09


普通、独裁者と聞いて私たちが思い浮かべるのは20世紀のそれだ。ソ連を「収内所群島」にしたヨシフ・スターリン、文化大革命を率いた毛沢東、大量虐殺に走ったプル・ポト…。もちろん21世紀の今も残虐な独裁者はいる。シリアのバシャル・アサド大統領は内戦で多くの国民を殺害している。

だが今日、独裁者を取り巻く環境はいつになく厳しい。冷戦終結で、世界中の独裁者はソ連という後ろ盾を失った。90年代に入ると民主主義を世界に広めたいNGOや活動家が台頭し、各地に選挙監視団を送り込んで、政権による人権侵害や暴行、不正選挙の実態を暴いてきた。

ソーシャルメディアやYouTubeの普及で、暴君たちの犯罪もすぐに暴かれる。独裁者にとって、21世紀の今は住みにくい時代だ。

しかしどこかで歯車が狂い、独裁的・強権的な政府が盛り返してきた。米人権擁護団体のフリーダム・ハウスによれば、世界の政治的自由度は過去10年間、ずっと下がり続けている。これは40年以上前に調査を始めてからの最長記録だという。

アジアでは、選挙で選ばれた政権がいくつも軍事クーデターで倒された。南米では大衆受けする独裁政権が闊歩する。タイやウクライナ、バングラデシュやエジプトなどでは民主主義の実験が挫折。「民主主義の後退」はずるずると続いている。

人々が民主主義を諦めたわけではない。アラブの春に見られるように、政治的・経済的自由を勝ち取るためなら人は犠牲をいとわない。

だが独裁のありようが変わってしまった。今の独裁者は昔よりずっと狡猾だ。国際社会からの圧力が高まると、賢い独裁者は国境を閉ざして国民への締め付けを強める代わりに、新たな状況に適応しようとする。彼らは時代に合わせて権力を維持するすべを知っている。


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グローバル化した世界では、国民を大量に逮捕して拷問にかけ、銃殺するようなやり方が適用しない。だからロシアのウラジーミル・プーチン大統領は人権活動家を一斉検挙せず、代わりに税務署員や衛星指導員を差し向けて反体制派に難癖をつけ、活動を抑え込んでいる。

ベネズエラでは、故ウゴ・チャベス前大統領とその後継者のニコラス・マドウロ大統領が抜け穴だらけの法律を制定し、法の名の下に目障りな組織を弾圧している。

マレーシアのナジブ・ラザク首相は裁判所を味方に付け、訴訟攻勢で政敵をつぶしている。カンボジアのフン・セン首相は全面的な報道規則に代えて、一部の新聞にだけ一定の自由な議論を許しているようだ。

中国のシー・チンピン国家主席は民主化を唱え、自由や主義、法治主義といった言葉を演説にちりばめている。実際、経済関連の報道は比較的自由にできる。さもないと地方党員の腐敗を指導部が把握できないからだ。

最近の独裁者は体裁を整えるのがうまい。例えば選挙でも、昔のような行き過ぎた票の操作はしない。ソ連時代なら得票率99%というありえない数字で勝利宣言をしたものだが、今は得票率70%ぐらいで、投票箱への偽票の詰め込みをストップする。ちゃんと競争があったことを示してこそ価値があるからだ。

北朝鮮やトルクメニスタン、赤道ギニアなどでは、時代に逆行するような古手の独裁者が少しは生き残っている。ただし彼らは過去の遺物で、隔絶された世界の果てで生き延びている。

北朝鮮は、20世紀の全体主義にしがみつく唯一の国だ。核兵器を開発しながら国民を飢餓にさらす前政権の政策を踏襲する。だが新時代の独裁者たちは北朝鮮の轍を踏まず、進化し、変化し、運が良ければ豊かになるすべも身に付けてきた。

This is a read-only exercise. There are no questions available.


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Japanese Language Proficiency Test JLPT N1 – Reading Exercise 08